彼らの現役時代の圧倒的な強さに寄りかかり、興行の柱として重用しながら、その内面で増幅する「闇」から目を背けてきた協会の姿勢こそ、今まさに糾弾されるべきものである。

一般社会で雇用主が従業員に暴力を振るったら警察沙汰

 大相撲の世界では、古くから「師匠は親、弟子は子」という疑似家族的な関係が重んじられてきた。しかし、そのウェットな関係性が時として「可愛さ余って憎さ百倍」という名の暴行を正当化する土壌となってきた。

「昭和的な可愛がり」が未だに地続きで存在していること自体、この組織の時計が止まっている証拠である。現代のスポーツ界において指導者が選手を酒瓶で殴打するような事態が起きれば、それは即座に刑事事件として立件され、社会的信用を完全に喪失する。

 だが角界という「治外法権」とも言える閉鎖的空間では、こうした蛮行が「一時の激情」や「教育」の名の下に矮小化されて扱われてきた。

 ある「重鎮」の相撲協会OBはこう断言する。

「一般社会では、雇用主が従業員に暴力を振るえば即座に警察沙汰。傷害事件で逮捕される可能性すらある。その自覚がない親方が指導者を務めていること自体が、相撲協会の未来を閉ざしている」

 この言葉は、角界がいかに現代の法治社会から乖離しているかを鋭く突いている。

 協会は6日の理事会で協議を行う方針だが、処分の決定は場所後へ持ち越される見通しだという。酒瓶で殴打したとの証言もあり、2018年の「暴力決別宣言」以降、師匠による暴挙として過去最重量級の厳罰、あるいは「部屋閉鎖」の再来すら現実味を帯びている。

 現在、角界は深刻な新弟子不足に直面している。入門者数が過去最低水準となっている背景には、少子化だけでなく、こうした「暴力のイメージ」が払拭できないことも大きく影響していると言わざるを得ない。師匠が弟子を殴り、それを「指導」と言い張るような組織に誰が大切な我が子を預けたいと思うだろうか。