「前田」の名を捨てたインフロニアが担う受注合戦からの脱却

 社名変更にはいくつかのパターンがある。一つは、Umiosのような意思表示。生き残るためにも企業構造そのものを変える必要があり、それを内外に広く知らしめるために社名を変える。

 同様の例がインフロニア・ホールディングスだ。同社は前田建設、前田道路、前田製作所の3社が2021年に経営統合すると同時に「前田」とはまったく関係ない社名となった。

 3社統合とはいえ、売上比率は準大手ゼネコンである前田建設が圧倒的に大きい。そのため前田建設を踏襲してもよさそうなものだが、やはりここには会社、そして経営陣の意思がある。

 建設会社の基本は請け負いだ。工事を受注し、建物を建てることで売り上げが発生する。そのため各社は売上高と受注件数を競い合ってきた。しかしこれでは受注合戦に陥り、時には利益を度外視する。そのため売り上げほどには利益が生まれない。スーパーゼネコンならまだしも、準大手以下ではさらにそれが顕著になる。

 そこで前田建設は2010年代から、建設を請け負うだけでなく、生活インフラや公共施設を建て、運営も行って対価を得るコンセッション事業に力を入れてきた。

 インフロニアとは「Infrastructure(インフラ)」「Innovative(革新)」「Pioneer(先駆者)」「Engineer(技術者)」「Frontier(開拓者)」という言葉を組み合わせたもので、新しい時代のインフラを創造していくという意味だ。つまり建設会社からインフラ会社への転身を3社統合と社名変更で明確にしたことになる。

インフロニア・ホールディングスのロゴマーク(2021年撮影、写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)

 カナデビアもその1社だ。2024年10月1日付で社名変更。それまでの社名は日立造船だった。この社名からイメージするのは日立グループの造船会社だ。

 しかし実際は日立グループでも造船会社でもない。現在はごみ焼却場などの環境事業を主力としている。実態とは違うが日立の知名度は大きい。そこで社内で何度も検討を重ね、「奏でる」とラテン語で「道」を意味する「via」からの造語を社名とした。

カナデビアの看板・ロゴ(2025年撮影、写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)