匿名の日本のインフルエンサーに支援を求める
ChatGPTがこの計画へのアドバイス提供を拒否したため、一時的に活動を停止した。しかし昨年10月末にChatGPTを介さずに作成したとみられる「対高市工作」の実施に関する進捗報告書のテキストの推敲をChatGPTに依頼してきた。
進捗報告書は最初の依頼にほぼ沿っており「高市氏へのネガティブなコメント」「移民」「極右とのつながり」「米国の関税」などのトピックで構成されていた。匿名の日本のインフルエンサーに支援を求めたと主張するなど、作戦の詳細も記されていた。
「#右翼共生者」などのハッシュタグを使い昨年10月下旬からX、Blogspot、Pixiv(ピクシブ)などのプラットフォームで拡散。ハッシュタグは高市氏の極右とのつながりを非難するミームや米国の関税が日本の農業に与える影響について不満を唱えるミームと共に投稿されていた。
中国法執行機関が国内外の反体制派や批判者を沈黙させ、抑圧するため「サイバー特別作戦」を実行していることをうかがわせた。作戦にはスタッフ数百人、数十のプラットフォームにわたる数千の偽アカウント、中国製AI、数十の戦術を記した手引書、潤沢な資金が不可欠だ。
手口は反体制派のSNSアカウントに対する悪意ある通報から大量のオンライン投稿、文書の偽造、米国政府高官へのなりすましまで多岐にわたる。米国、日本、同盟国、世界中の中国共産党批判者を標的とした綿密に調整された秘密影響工作の一環とみられるという。
【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。