「人の心の中に強い印象を残す」日本人のスケーティング技術

 ミラノ五輪は、チーム一丸となった団体戦・銀メダルから始まり、男子でダブル表彰台(鍵山優真選手・銀メダル、佐藤駿選手・銅メダル)、ペアで“りくりゅう”(三浦璃来選手、木原龍一選手)が歓喜の金メダル、そして女子もダブル表彰台──日本フィギュアスケートの強さを見せつける大会となった。

獲得したメダルを胸に撮影に応じるフィギュアスケート男子の鍵山優真(右)と佐藤駿(写真:共同通信社)
ペアで金メダルを獲得した三浦璃来(左)、木原龍一組。同種目で日本勢初の表彰台となった(写真:共同通信社)

 強さの源泉はいろいろあるだろうが、通底する一つとして、「スケーティング技術」の高さを挙げたい。

 個人の技術力や個性があるのはもちろんだが、りくりゅうペア、鍵山、坂本と、日本のトップスケーターは皆スケーティング技術を高く評価されている。

 スケーティング技術とは、具体的には滑りのスピードであり、なめらかさであり、深さであり、速度や緩急をコントロールする力であり、エッジの正確さである。フィギュアスケートはいうまでもなく、氷を滑る競技であり、ジャンプもスピンもステップもすべて、「滑る」行為の上に成り立つ。

 土台であるから地味であり、目が行きにくい技術である。ジャンプのように、単体で捉えることはできない。だが、画面越しであっても、スケーティングの質は伝わるはずだ。「美しかった」「迫力があった」「繊細だった」……そういった総体的な印象を与えるのがスケーティングである。

 例えば浅田真央さんを指導したことで知られる佐藤信夫コーチは、著書『諦めない力 フィギュアスケートから教えられたこと』で、こう書いている。

〈どんなルールの時代であっても、本当にきれいなターンやスケーティングをしたら、人の心の中に強い印象を残すことができる〉

 実際、りくりゅうペアの清らかな疾走感、鍵山選手の音楽と一体となった美しさ、そして坂本選手の雄大な滑りは、日頃フィギュアスケートに触れていない人をも魅了したようだ。「ルールは分からないし、初めてフィギュアスケートを見たけど感動した」といった声がSNSには多く見られた。