神奈川県内の倉庫に保管されている政府備蓄米(写真:共同通信社)
“継戦能力”を掲げる高市政権、兵站の議論はどこまで本気か
2月8日に投開票が行われた衆議院議員選挙は、高市早苗総理の“強行突破”の賭けが見事に当たり、自民党は歴史的圧勝。第2次高市政権が始動する。
国民の圧倒的人気を背景に大勝を果たした高市氏の発言力は、党内外で格段に高まるはずで、これを御旗に持論の「国家安全保障の強化」を加速させるだろう。
衆議院議員選挙で圧勝した自民党総裁の高市早苗首相(2026年2月8日、写真:共同通信社)
そこで気になるのが、高市氏が「継戦能力」の強化を打ち出し始めた点だ。「兵員補充や武器・弾薬・燃料・兵糧の補給など、兵站(後方支援)を手厚くして、戦い続けられる能力」を指す軍事の専門用語である。
昨年12月23日、共同通信加盟社の編集局長会議の懇親会で講演した高市氏は、「食料安全保障は大事ですよ。自給率を高めますよ。エネルギー・資源安全保障も自給率を高めていきます」と言及した。続けて「1回あのような戦争(ウクライナ戦争)に巻き込まれると、かなり長期間にわたってしまうので、継戦能力を高めなければなりません」と強調した。
軍事の世界でいう継戦能力の「一丁目一番地」は、「兵糧」(将兵の食料、特に主食の穀物)である。昔からの格言「腹が減っては戦(いくさ)はできぬ」は、あまりにも有名だ。
アメリカ軍の食料供給に対する優先順序はとにかく高い(写真:米陸軍ウェブサイトより)
だが、実は軍事にあまり詳しくないのか、あるいは重要性を知りつつも、しがらみの中であえてぼやかしているのか、高市氏は兵糧の扱いが少々薄いようにも感じる。
高市氏は2024年発行の『国力研究』(産経新聞出版)の中で、自らが描く国家安全保障戦略について詳述している。
「我が国の安全保障に関わる総合的な国力の主な要素」と題し、重要度の高いものから順に、「外交力」「防衛力」「経済力」「技術力」「情報力」と5項目を掲げる。同時に、アメリカのトランプ大統領が強く求める「防衛費の大幅増」に応じるためか、自衛隊の戦力強化にはとりわけ熱心だ。
同書でも「直ちに防衛費の増額が必要」と強調し、宇宙・サイバー・電磁波(宇サ電)、HGV(極超音速滑空兵器)、ドローン、完全自律型AI兵器への備えの重要性を強調する。
これらは、ウクライナ戦争でも劇的なスピードで進化し続ける兵器・戦法で、時流に取り残されないよう、常にキャッチアップする必要はある。最先端兵器のラインアップは、一般国民に対して華々しくて勇ましく映る。
2025年12月16日、参院予算委の集中審議で高市早苗首相(左)と言葉を交わす小泉進次郎防衛相(写真:共同通信社)