「大雪×16日間」がSNS依存を加速

 繰り返しになるが、今回の衆院選には、SNSの選挙に対する影響力をさらに大きくする構造的条件が重なっていた。

 第1に、16日間という超短期日程である。2月投開票の衆院選は36年ぶりで、1990年の第39回以来。現行の小選挙区比例代表並立制のもとでは初めてとなる。候補者にとって「看板」を確立する時間、すなわち有権者に名前と政策を浸透させる時間が決定的に足りなかった。

 第2に、記録的な大雪が日本海側を中心に列島を襲ったことも忘れてはならない。総務省の中間集計(公示後5日間、1月28日〜2月1日)によると、期日前投票者数は約456万人で、前回同時期と比べて2.54%減少した。雪害の影響は深刻で、鳥取県では前回比42.5%減、富山県30.68%減、青森県26.41%減を記録している。

 ただし最終的な期日前投票者数は2079万人(全有権者の約2割)に達し、前回比26.56%増となった。北海道や東北を含む全都道府県で前回同時期を上回っている。有権者の投票意欲が大雪を上回ったとも読めるが、裏を返せば、投票日当日を避けて期日前に流れた結果とも解釈できる。それはすなわち、有権者が各党や候補者の情報収集・判断にかけられる時間がさらに短くなったことを意味する。

 投票日の2月8日も東京23区で積雪予報が出され、2月上旬という異例の時期に選挙することを選んだ自民党自らが、投票率低下への警戒を呼びかけるという異例の展開を見せた

 福井県では積雪の影響で街頭の人通りが減り、陣営から「遊説だけでは届かない」という声が上がったこと、そして結果として、ショート動画を軸としたSNS発信への注力が進んだことを福井新聞は報じている

 これは福井に限った問題ではないだろう。街頭演説、選挙カー、戸別訪問といった物理的な接触機会が、大雪と超短期日程の双方から大幅に制約された結果、有権者が候補者を「知る」チャネルがSNSに集中する構造が生まれたのである。

 重要なのは、これが偶発的な悪天候の問題にとどまらないという点だ。1月解散・2月投開票という政治判断そのものが、真冬の選挙戦を招き、SNSへの依存度を構造的に押し上げたという因果関係を見逃すべきではない。