数字が語る「SNS選挙」の実態
日本経済新聞とスタートアップのサーチライト社が公示日の1月27日から2月1日までのYouTube上の衆院選関連動画を分析したところ、再生数の7割が、匿名の投稿者によって公開された動画によるものであることが判明した。これは政党や候補者本人の公式チャンネルにアップされた動画の再生数の、実に4.6倍にあたる。その内容の中心は、テレビやネット動画を第三者が再編集した「切り抜き」だったそうだ。
さらに同調査では、再生数の7割が「10秒から1分程度のショート動画」であることも明らかにされている。NHKが1月27日から2月3日までの各党YouTube公式チャンネルの投稿を分析した結果でも、投稿の3分の2がショート動画だった。候補者の政策や人柄、あるいは「問題点」を数十秒の断片に圧縮して届けるショート動画は、選挙に大きな影響をおよぼす存在になっている。
日本最大級の選挙・政治情報サイトである選挙ドットコムを運営するイチニ社が、衆院選公示直前の1月20日にリリースした「カンタン動画作成ツール」は、候補者が写真1枚からショート動画を自動生成できるサービスだ。こうしたツールの登場は、ショート動画を制作することが、選挙戦術における常套手段となっていることの象徴と言えるだろう。
ちなみにその選挙ドットコムの分析によれば、衆院選関連のYouTube動画の視聴回数は公示からわずか6日間で約9億8000万回に達し、前回衆院選(2024年10月)の選挙期間全体の約2億7000万回を大幅に上回った。
しかし、有権者が最も多く接触する選挙情報が、候補者本人ではなく匿名の第三者が編集した数十秒の「切り抜き」であるとき、その一票はいったい何に基づいて投じられていると言えるのだろうか。