立候補の意向は瞬く間に広がっていった。こちらから連絡をする以前に、向こうから問い合わせがくることもあった。
そんな中で立憲民主党の三重県連の代表の下野幸助から私の携帯電話に連絡が入った。下野は、私が立候補した衆議院選挙で三重県第2区から出馬し、初当選を果たしていた。それまでは同選挙区内選出の県議会議員だった。
立憲の代議士から執拗な電話
下野はその電話でまず、私が伊勢市の市議会議員選挙に立候補するのか問いただしてきた。
私は追い出された(そう認識している)とはいえ、立憲民主党に報告と挨拶を欠いていた不義理を詫びた。
すると下野は言った。
「では、衆議院選挙での次点はご辞退されるということで、よろしいですね」
どうしてそういうことになるのか、私には理解できなかった。市議会選挙に出るのなら次点を辞退しろ、言い換えれば、比例順位の次点でいたいのなら市議会選挙にでるな、ということだ。
そもそも、衆議院選挙の次点であるから、地方議員に立候補できないということはなかった。仮に、議員に当選した場合でも、前の選挙の比例名簿が残っている限りは、その立場が消えることはない。議員になって、何らかの事情で衆議院の繰り上げ当選となった場合でも、通知から5日以内に市議会議員を選ぶか、国会議員を選ぶか、選択の余地がある。そのことは選挙管理委員会にも問い合わせていたし、党本部にも出馬してもいいか、確認をとっている。
いったいどうして下野はそんなことを言い出すのか。
私はその理由を尋ねた。すると下野は言った。
「国政選挙に向けての政治活動ができなくなるからです」
おかしな言い分だった。次の衆議院選挙には公認しないと言っておきながら、あるいは新しい選挙区を与えられてもいないのに、どうやって国政選挙に向けた活動を続けろというのか。それでも政治活動を続けたいから、市議会議員への立候補を決めていた。そう主張すると、今度は違うことを言ってきた。
「市議会議員になったら、任期中の向こう4年間は市民のために働かなければならないからです」
まだ、選挙で当選したわけでもない。にもかかわらず、そんな言い分が通るはずがなかった。その理由は明らかにおかしい。その反論に下野は直接答えることはなく、続ける。
「いや、青沼さんの自由な政治活動を妨げるつもりはありませんよ。でも、市議会議員選挙に出るからには、次点は辞退でよろしいですね」
もうこちらに同意を求める一点張りでしかなかった。そもそも下野自身も県議会議員でありながら、公認内定を得て国政選挙に向けた活動を続けていた張本人だった。