副業解禁によって試される自身の市場価値
30代男性で複合型が主流なのは「若いから体力がある」「IT系が得意だから」ということだけでは片付けにくい。終身雇用の時代が終わり、転職や副業が当たり前になった世代であり、「今の仕事だけでは不安」という声も多かった。複数の副業に取り組むのはリスクの分散だと言えるかもしれない。
ただし中高年層が想像するような、副業でおいしい思いをしている30代男性は、やはりごく一部ではないだろうか。
副業解禁によって男性たちは、自身の「市場価値」を試されるという残酷な現実に向き合っている。
これまでのサラリーマンは「自力でお金を稼ぐ」という経験を持つ人が、ごく一部を除いてほとんどいなかった。市場で戦える職業人ではなく、必要とされてきたのは会社に適応する人間だ。つまり、今になって本業以外で稼ごうとしても、結局「タイミーに行く」という選択しか残されていない。
特に副業という言葉すらなかった世代は、長年勤める会社に最適化され、外で戦える武器を持たないまま年を重ねた。それに比べると、複数の副業に果敢にチャレンジする30代男性の姿は頼もしいと言えるかもしれない。
一方で、即金にはならなくとも、副業参入によって時間をかけてスキルを磨き、自分へ投資するという人もいる。しかし、ある程度の経済的ゆとりがなければ、時間的な投資はできないだろう。こうした現実を理解するためにも、副業にチャレンジすることは意味がある。そして男性たちは今日も“副業の森”を彷徨うのだ。(後編に続く:2月8日公開)
若月澪子(わかつき・れいこ)
NHKでキャスター、ディレクターとして勤務したのち、結婚退職。出産後に小遣い稼ぎでライターを始める。生涯、非正規労働者。ギグワーカーとしていろんなお仕事体験中。著書に『副業おじさん 傷だらけの俺たちに明日はあるか』『ルポ過労シニア 「高齢労働者」はなぜ激増したのか』(朝日新聞出版)がある。



