危ういウォーシュ氏の主張
金の歴史的な下落で最も深刻な打撃を被ったのは中国人投資家のようだ。
ブルームバーグは2月2日「金相場の急落で中国の個人が大やけど、1週間で2000万円超失った主婦も」と題する記事を掲載した。米国との摩擦から金の「爆買い」が起きていたことが災いした形だ。
金の価格は今週に入っても軟調基調が続いているが、「中長期的には価格は上昇する」との見方が根強い。
JPモルガンは2月1日付レポートで、来年末の金の価格予想を従来の5400ドルから6300ドルに引き上げた。資金を実物資産である金に分散する傾向が続き、中央銀行や他の投資家の金需要は伸び続けるというのが理由だ。
だが、攪乱要因はウォーシュ氏だ。「金融引き締めに具体的に言及した場合、金の価格にとって重荷になる」との指摘が出ている。
ウォーシュ氏はウォール街とワシントンの双方で経験を積んだ人物だ。2017年にFRB議長候補になったが、結局パウエル氏が選ばれた。トランプ氏は後にこの選択を後悔していると公言している。
8年越しでFRB議長に指名されたウォーシュ氏だが、連邦上院での承認は難航しそうだ。
米上院民主党トップのシューマー院内総務は30日「FRBのパウエル議長に対する司法省の措置が撤回されない限り、共和党はウォーシュ氏の指名に関する審議を先に進めるべきではない」と釘を刺した。
トランプ氏は30日「ウォーシュ氏は利下げを望んでいる」と述べたが、ウォーシュ氏の利下げ論が独特な理由に基づいていることに注目すべきだ。
ウォーシュ氏は「7兆ドル弱規模に膨らんだFRBのバランスシートを大幅に圧縮すれば、インフレを再燃させずに利下げができる」と主張している。
米国では2008年9月のリーマンショック後、FRBが長期国債や住宅ローン担保債券(MBS)を大規模に購入する量的緩和(QE)に踏み切った。金利ではなくお金の量を変化させる「非伝統的金融政策」と呼ばれるものだが、ウォーシュ氏は「FRBの巨額の資産保有は金融システムを歪めている」と一貫して反対してきた。
だが、多くの専門家はウォーシュ氏の主張に懐疑的だ。