「所有規制なんて無理、利用規制しかない」

 2012年、財界朝食会に招かれたことがあります。すでに外資の買収事例がいくつも見つかり、騒ぎが大きくなって誰もが知るようになった頃です。都内高級ホテルで財界トップに対し、「外資土地買収の惨状」と「諸外国の規制ルール」を報告しました。

 反応はいまひとつで、ちょっと引き気味でした。

 が、その中でひとり気を吐く経営者がいました。

「そんな(土地の)所有を規制するなんて無理ですよ」

「利用規制しかできないよ」

「(土地は)利用で制限するしかないよ」

 きっぱりと、また繰り返し何回も「所有規制はいかん」とダメ出しし、しゃべり終わるや早々に退席されました。ローソン社長で後の経済同友会代表幹事です。その決めつけぶりと強引さにあっけにとられましたが、外資規制を阻む人たちはこういうところにいるんだなぁと感心しました。

 でも、日本では「土地の利用規制」は個人の財産権が強いので、うまく機能しないケースがままあります。違法建築や農地の無断開発、植林放棄などが、「公共の福祉・利益」と「所有者の不利益」の観点から民事訴訟に発展し、しばしば公共が負けます。いくら利用の分野で規制しようとしても、日本では限界があるのです。憲法第29条(財産権の保障)が効いています。

 外資規制を、所有規制ではなく利用規制の分野に持ち込もうというのは、「規制とは呼べない形式届け出」や「名ばかりの骨抜き規制」を増やしてしまうことになりかねないのです。