財界の言い分「外国人の所有規制?それは言ってはいけないことです」
「日本の企業も海外で土地を買って住宅産業や農林業をやっているわけだし、これは言ってはいけないことですよ」
「そんな排除論なんて通じるわけがないでしょう。そもそもバブルのとき、三菱地所がマンハッタンのビルを買ったのと同じです」
2008年、東京財団で外資買収の議論をはじめたときのことです。
経団連役員を兼ねていた住友林業の役員OBは、最後まで研究会の設置に抵抗しました。海外での住宅開発*1ができなくなる、事業がとまる、資金回収ができなくなる……という懸念からだったのでしょう。
外資系航測会社(国際航業)のトップも規制に反対でした。
「外資に買ってもらったことで、地元の村では管理しきれない山を管理してもらえるようになります。不法投棄もなくなってメリットがあるのではないですか」
実は当時、雲を掴むような伝聞レベルの買収話を何とかファクトにしようと事例を探していました。筆者は静岡の奥深い山へ森林組合長と入り、1時間以上歩いてようやくたどり着いた場所で、こんな話を聞きました。
「(中国人が)買う理由がわからないんです。木が目的ではないですね。でも、役所が情報収集に乗り出しても、そんなことを知らせる人はいないですよ。中国人へ売った情報を役所に漏らせば、『あとで仲介者から仕返しや嫌がらせがあるかもしれないから怖い』って地元の人は言いますね。脅されたとしても誰も守ってくれないでしょうし……」
経済ベースでの買収ではない。これはまずい。面倒なテーマになる……。
爾来、筆者にはこの時のことがいつも引っかかっています。
*1 1980年代以降、豪州ゴールドコーストには日本のデベロッパーやハウスメーカーが入り、巨額のジャパンマネーをもった日本人のバスツアーと不動産購入があった。地価高騰で住民の不満が高まり、1987年に外国人の住宅購入が国の審査委員会の審査対象になった。2010年以降は中国マネーが入った。今、豪州では全州(首都特別地域、北部準州除く)で印紙税等を外国人から追加徴収している。