イエメン情勢に要注意
ウォールストリート・ジャーナルは21日「トランプ氏は先週イラン攻撃を見送ったものの、依然として軍事の選択肢を側近らに求めている」と報じた。今週末にエイブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群が中東に到着する予定であるため、「米軍はイランでも斬首作戦を実施する」との憶測が流れている。
米国がハメネイ師を狙った場合、イラン政府は全面戦争を警告している。イランがホルムズ海峡を封鎖する事態となれば、原油価格が高騰するのは必至だ。
日本ではあまり注目されていないが、イエメンを巡る情勢も変化している。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派から攻撃されるリスクがなくなったため、スエズ運河を経由した紅海ルートの定期運航が再開し始めているが、イエメン情勢は依然として流動的だ。
サウジアラビアが支援するイエメン政府は19日「UAEがイエメン南部の港湾都市ムカラ近郊の空軍基地で秘密刑務所を運営している」と非難した。この非難は、イエメンの支配を巡ってサウジアラビアとUAEの確執が続いていることの証左であり、中東の2大産油国の関係は不安定なままだ。両国からの原油輸入の比率が8割を超える日本にとって憂慮すべき事態だ。
原油価格の動向に大きな影響を与える中東情勢について、引き続き高い関心を持って注視すべきだ。
藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。