根強い供給過剰懸念

 OPECは2016年、市場支配力を維持する目的でロシアなどの大産油国を巻き込んでOPECプラスを結成した。以来、減産を実施するなど原油価格を下支えしてきたが、このところ加盟国から相次ぐ増産要請に頭を悩ませている。このような状況下でOPEC加盟国であるベネズエラの増産が続けば、協調体制を維持するのが困難になる。

 OPECが14日に発表した月報によれば、昨年12月のOPECプラスの原油生産量は前月比24万バレル減の日量4383万バレルだった。カザフスタンの原油生産量が前月比24万バレル減の日量152万バレルに減ったことが主要因だ。ウクライナの攻撃で主要積み出し港が機能不全に陥ったことが災いした。

 OPECは原油市場は均衡しているとの見立てを崩していないが、市場関係者は違う。

 ゴールドマン・サックスは11日「今年の原油価格は1バレル=52ドルとなる」とする従来の予測を変更しなかった。ロシアやベネズエラ、イランの地政学リスクがボラティリティー(価格変動)をもたらしているものの、世界の原油市場の供給過剰が続き、下落圧力が強いというのがその根拠だ。

 原油安シナリオは日本にとって望ましいが、油断禁物だ。イランを始めとする中東情勢の推移について、引き続き高い関心を持って注視すべきだ。

藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。