イラン情勢をめぐるリスクが原油市場に影響を与える=イメージ(写真:ロイター/アフロ)
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り1バレル=58ドルから63ドルの間で推移している。イランの政情不安の激化から原油価格は14日、一時62.36ドルと昨年10月下旬以来の高値を付けたが、その後、米国の軍事介入への懸念が薄れ、59ドル前後に下落した。
イラン情勢は予断を許さなくなっている。昨年12月28日から続く政府への抗議活動は現在も続いており、イラン国内での犠牲者は増える一方だ。
抗議デモ拡大でも支配体制は難攻不落か
専門家が注目しているのは、1979年のイラン革命を経済的に支え聖職者を権力の座に押し上げるのに一役買ったバザール(市場)の商人らが、今回の抗議デモの発火点だったことだ。デモは通貨危機をきっかけに始まり、今や体制そのものに焦点が当てられているとの見解が有力だ。
「イランの支配者たちにとって1979年革命以来の難局にある」との主張がある一方、「抗議デモ拡大でも支配体制は難攻不落だ」との見方も根強い。
国際社会が事態の推移を固唾を飲んで見守っているのは、イランがOPEC(石油輸出国機構)第4位の大産油国だからだ。
現時点で、イランの主要産油地帯であるフゼスタン州で動揺が広がっているかどうかは不明だ。原油輸出が減少した明確な兆候も出ていない。
気がかりなのは、革命で追放されたパーレビ元国王の息子で、現在米国に亡命しているレザ・パーレビ元皇太子が石油労働者にストライキを呼びかけていることだ。1978年に発生した石油労働者のストライキがイラン経済に深刻な打撃を与え、君主制の終焉につながる一因となった経緯がある。
米国のイランへの対応も重要な要素であることは言うまでもない。