ベテランも唸った、最強の不意打ち解散

 高市首相が悲願とする長期政権を築くには、2027年秋に予定する次期総裁選で再選を果たすことが絶対条件だ。高市内閣は昨秋の発足以降、いまも60~70%という高水準の支持率をキープする。憲政史上初の女性宰相という話題性と、醸し出す庶民性などが相乗効果を生んだ。

2025年12月時点の報道各社の世論調査・内閣支持率(図表:共同通信社)

 いまのうちに衆院解散・総選挙を断行して勝利の実績を挙げ、与党内で続投に向けたコンセンサスを得ようとする狙いがあるのは、想像に難くない。実際、高市氏の再選戦略を考慮すれば、26年は衆院選の年になるという認識は、政治のプロの間では共有されていた。

 にもかかわらず、新年気分が冷めやらぬ永田町で、交差する地殻プレートのように動き出した解散政局は、電撃的とも言えるショックを走らせた。その主因の一つは、シナリオづくりの秘匿性においてである。

 野党に選挙準備の時間をできるだけ与えずに急襲するのは、「死んだふり」とも例えられる。解散カードを持つ与党にとって、勝利に向けた定石の一つだ。

 高市首相もこれまで「政策実現に追われて解散を考える余裕はない」などと繰り返しており、これには当然に「目くらまし」との見方はあった。

 しかし、これらをも凌駕する濃い「煙幕」となったのは、通常国会の召集日を1月23日と設定したことだ。

 この日程で開幕時に解散すれば、1カ月弱の政治空白は不可避となり、本年度内に26年度予算を成立させられないリスクを生む。このため「暫定予算を組んでまで、1月に解散することはないだろう」(与党幹部)との認識が広がっていた。

 ベテラン政治家の一人は、こうした暫定予算編成をも厭わない方針に「まさしく最強の不意打ち解散だ」と唸った。野党やメディアは言うに及ばず、多くの与党議員にとっても「敵を欺くには、まず味方から」を地で行った形になったのだ。