高校球児や野球少年のケガや故障の防止に積極的行動
一方、アマ球界でも新潟県は注目を集める動きをしてきた。
2018年12月、新潟県高野連が2019年春の新潟県大会から各投手の試合での投球数を「100球」に制限する「球数制限」を導入すると発表した。
この年夏の甲子園で、金足農の吉田輝星が一人で881球を投げたことで「球数制限」の議論が沸騰していただけに、新潟県高野連の発表は大きな反響を呼んだ。日本高野連は、新潟県側の意見を尊重しつつも時期尚早と判断した。しかし、この新潟県の意思表明が「球数制限」に関する「有識者会議」の招集、さらには「7日間500球」の球数制限の導入につながった。
筆者はこのとき高野連の富樫信浩会長(当時)に話を聞いたが「将来ある子どもたちが、途中で野球を断念してしまわないようにするのがわれわれのするべきこと。これが新潟県野球界の総意だ」と話した。
「新潟県野球界の総意」この言葉は、非常に重い意味がある。
新潟県では2011年に新潟県高野連が中心になって、新潟県青少年野球団体協議会(NYBOC)を立ち上げた。NYBOCには、高野連、リトルリーグ、リトルシニア、ボーイズ、ポニー、ヤング、中体連少年部、スポーツ少年団学童部、県女子野球連盟と、男女、硬式軟式を含めたすべての青少年野球団体が加盟。のちにアルビレックス新潟BC(現在はオイシックス新潟)も参加する。
NYBOCは、最初の事業として「野球手帳」を制作した。A5サイズより小さい36ページほどの小冊子だが、選手が病院やクリニックで治療を受けると、医師や理学療法士は症状と治療法について「野球手帳」に書き記す。その少年が故障をして別の医療機関で治療を受けても「野球手帳」を見れば「既往症」「治療法」がわかるので、それに基づいた治療ができる。それだけでなく「野球手帳」は、指導者への連絡帳として活用され、指導者は子供の健康状態をチェックして指導をすることができる。
肩や肘の故障を予防できるよう、県内の野球少年に配布される「野球手帳」
小さな冊子だが「野球手帳」は、新潟県の野球界が力を合わせて野球少年の未来をサポートする「象徴」となったのだ。この「野球手帳」の印刷費は、新潟県高野連が負担した。
医療機関と野球界が連携したこの取り組みは、「新潟メソッド」と言われている。