AIと経済安保で投資が幅広い分野に波及
地政学リスクの高まりを背景とした経済安全保障対応の投資一つを採ってみても、広がりは大きい。アメリカでは、CHIPS法やインフレ抑制法(IRA)で、半導体、電池、クリーンエネルギー関連産業の国内立地を促しており、民間投資を強く誘発している。
EUにおいても、重要物資を特定国に過度に依存しないためのリスク分散(デリスキング)の方針の下で、バッテリーや半導体の域内生産を重視する産業政策が加速している。
日本も、経済安全保障推進法に加えて円安などの要因もあって、設備投資の国内シフトが続いている(経産省「第26回 産業構造審議会地域経済産業分科会資料3」2025年10月、日本政策投資銀行「2025年度設備投資計画調査」2025年8月)。
また、アメリカの関税引き上げを契機として、中国からアメリカへの直接輸出が減少する一方、ベトナムなど第三国を経由する形での迂回輸出が増加しており(図1)、企業のサプライチェーン再編が眼に見える形で表れている。

AI投資も広がるばかりである。投資対象は、AI向け半導体にとどまらず、データセンター建設、電力需要の急増に対応する発電・送電投資、さらにはAIエージェント導入による業務自動化や人手不足対応へと広がっている。
しかも、AIを軸とした投資は、IT産業にとどまらず、製造業、物流、サービス業など幅広い分野に波及している。これらの投資がさらに積み重なっていけば、教育(AI家庭教師など)、医療(AIホームドクター)、家計管理など人々の生活に大変革をもたらす可能性が近づいてくる。