継続する金価格の上昇はどうなるか(写真:FOTOKITA/Shutterstock.com)
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2025年は米トランプ政権が打ち出した関税政策や米連邦準備理事会(FRB)への介入、イスラエルとイランの軍事衝突など、急変する相場環境にコモディティー(国際商品)市場も揺れた。結果を見れば原油や穀物相場は総じて安く、貴金属の高騰が突出した1年だった。年末には銀やプラチナ相場が急反落し、下げが金にも及ぶなど急ピッチの上昇には危うさも見える。金価格の上昇は2026年も続くのか。

(志田富雄:経済コラムニスト)

2025年、国内の金小売価格は1979年以来の上昇率

 田中貴金属工業の販売価格が指標になる国内の金小売価格(消費税込み)は昨年最初の営業日である1月6日から最終営業日の12月26日までの上昇率が約69%に達した。上昇率は2024年の40%を上回り、上昇スピードは加速した。

 年後半は金に比べて出遅れ感のあった銀やプラチナ(白金)市場にも投資マネーが向かい、年間上昇率は銀が約144%、プラチナが142%といずれも2.4倍を超えた。

 田中貴金属は金の輸入が自由化され、国内価格が変動するようになった1973年以降の小売価格の日次データを全て公開している。昨年の上昇率は179%(約2.8倍)を記録した1979年以来の高さになった。

 1979年はイラン革命と第二次石油危機で原油相場が一段と上昇し、旧ソ連のアフガニスタン侵攻が追い打ちをかけた年だ。ただ、金価格は80年1月21日に1グラム6495円(消費税の導入前)の高値を付けた後に急速に下落。80年は年間で19%下落した。

 70年代の価格変動は大きかったものの、2回の石油危機でドカンと上がった印象だ。それに比べ直近は2019年から25年まですでに7年連続で上昇しており、その間に金価格は5倍強になった。

 この5年間の上昇だけで、金の輸入自由化初日(1973年4月2日、825円)から2度の石油危機を経た79年末までの上昇率(約4.8倍)を上回る。長期の上昇トレンドが始まった2000年初めと比べた値上がりは実に24倍に及ぶ。