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2026年の米国は、中間選挙とFRB(連邦準備制度理事会)の議長人事という2つの大きな政治・金融イベントを控えています。これらは米国の金融市場にどのような変化をもたらし、日本経済や為替市場にどのような影響を及ぼすのか。さらに、AIブームが牽引してきた株高は今後も持続するのか。2026年の日米経済のリスクについて、みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏と、みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部チーフグローバルエコノミストの河田皓史氏に、JBpress編集長の細田孝宏が聞きました。3回に分けてお届けします。

(収録日2025年12月22日)

※JBpressのYouTube番組「JBpressナナメから聞く」でのインタビュー内容の一部を書き起こしたものです。詳細な前編は、JBpress公式YouTubeでご覧ください。

米国で中間選挙とFRB新議長

——米国では2026年に中間選挙を控え、FRB(連邦準備制度理事会)の議長人事も控えています。ポイントは何ですか。

唐鎌大輔・みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト(以下、敬称略):FRB議長人事は重要ですが、現時点で誰が選ばれるのかについて明確なコンセンサスはありません。

 為替市場ではトランプ大統領が指名する以上、「利下げとドル安を支持する人物だろう」という程度の見方しかないのが実態かと思います。議長は早ければ来年1〜2月に見えてくると言われています。ただ、新議長の下での初のFOMCは6月以降になります。その間、新議長は「利下げを進める」といった威勢のいい発言をすると思いますが、12月のFOMCを見ても分かる通り、FRBはすでに利下げで意見をまとめるのが難しくなっています。

 結果として、実際には思ったほど利下げできない現実に直面し、新体制への期待とのギャップが2026年後半に表面化する可能性があります。新議長に強い求心力があれば別ですが、現時点ではまだブラックボックスです。

 中間選挙と金融政策は無関係ではありません。株価が高く、景気が堅調であることが望ましいのは当然でしょう。ただ、リスクとして気になるのは、利下げ方向の情報発信が続いている割に、米国債の利回りが下がっていない点です。4月以降、特に超長期金利は明らかに下がらなくなっています。

 これまでは、米国経済が減速すると米国債に資金が流入し、金利が低下することで株価が下支えされていました。米国の家計金融資産の4割以上は株式ですから、株価が高止まりすれば資産効果で消費も支えられます。

 しかし、金利が下がらなければ割高だと言われている株式市場が調整局面に入り、米国経済の足場は株価から崩れる可能性があります。その遠因として、後になって「ドル離れ」が指摘されるのではないかと見ています。