国民民主は自民に接近、立憲に距離

 もう一つ、今後の日本政治の枠組みを大きく左右するアクターになりそうなのが、主要野党である国民民主党だ。

 玉木雄一郎代表は12月23日に東京都内で講演し、中期的視野における自維連立政権への参画について「模索している最中だ」と語った。

 同時に、同一選挙区に与党から複数名が立候補できるよう、新たに「中選挙区連記制」の導入が必要になるとの認識を示した。選挙制度を巡っては衆院で与野党による協議体があり、来春にも取りまとめを目指している。

高市早苗首相のあいさつ回りを受ける国民民主党・玉木雄一郎代表(写真:アフロ)

 こうした展開には布石があった。この12月には、目玉政策とする年収の壁の引き上げで国民民主は与党と合意に至った。これを踏まえ、玉木氏は26年度予算案にも協力する意向を表明。与党・自民党との距離を一段と縮め、「事実上の閣外協力」と見る向きが出ていた。

 玉木氏は25年10月、SNSで「今の立憲民主党と政権を共にすることはできない」と宣言していた。すでに当時、心の奥底では、旧民主党系の統合路線ではなく、自民党などとの連携に軸足を置く意思を固めていたのだ。

 自民1強が崩れた多党化時代において、与党への参画は政党の在り方として、むしろ政策実現のカードとして有力な選択肢となり得る。

 玉木氏にとって、積極財政派としての方向性で軌を一にする高市首相との相性は、もともと悪くない。少なくとも、党合流問題で対立した経緯がある立憲民主党現執行部の顔ぶれよりは、胸襟を開いて話し合いができるのだろう。

 自民とのこれ以上の連携強化に向けては、支持団体である連合との関係が課題として残る。連合は国民民主と立憲の協力を重視してきた経緯がある。最終的に軟着陸させることができるかどうかは、玉木氏の力量にかかっている。

 改めて高市政権の目線に立てば、維新との与党の絆を手放さないように配慮しつつ、国民民主党のほか参政党、日本保守党や一部無所属議員と閣外協力に近い立場で連携するというポジショニングが基本路線となろう。

 自民1強ではなくなったものの、保守・中道政党の躍進や広がりが、自民党政権と連携して下支えする政治潮流を進めつつある。

 そして取りも直さず、これは野党第一党・立憲民主党にとって、政権奪取戦略を見つめ直すことを迫るものでもあるのだ。