英語などとは違う日本語の特性が強く影響

 もう一つ、誤解を避けるために整理しておくべき点があります。この日本語の文字化け問題は、すべての言語で同じように起きているわけではありません。

 英語では、そもそもアルファベットの字形が単純です。文字数も少なく、縦横のバランスも均一なため、画像として描かれても崩れにくい構造を持っています。

 そのため、英語圏ではインフォグラフィックに文字を直接描き込んでも、実用上の問題が表面化しにくいのです。

 同様に、アラビア文字やハングルなどでも、日本語ほど深刻な問題は起きにくい傾向があります。

 これらの文字体系は、文字数や字形の規則性が比較的高く、画像化した際の再現性が安定しているからです。

 日本語が特に難しいのは、ひらがな、カタカナ、漢字が混在している点にあります。

 しかも漢字は画数が多く、似た形の文字も多いため、少しでも解像度や配置が崩れると、一気に可読性が落ちるのです。

 この問題は、日本語という言語構造そのものに起因しています。

 重要なのは、これは日本語が劣っているという話ではないという点です。むしろ、日本語は情報密度が高く、短い文章で多くの意味を伝えられる優れた言語という側面もあります。

 その強みが、画像生成という文脈では扱いづらさとして表に出ているにすぎません。

 だからこそ、日本語のインフォグラフィックでは、文字を描かない設計が決定的に重要になります。

 文字を画像として生成するのではなく、テキストとして保持し、配置することが重要です。

 この発想に切り替えない限り、日本語の可読性問題は根本的に解決しないように思われます。

 アルファベットや漢字、キリル文字、ハングルやアラビア文字などではこのような問題が起きにくいからこそ、日本語環境では見落とされがちです。

 しかし、日本の経営現場では、日本語で読めることが成果物の前提条件です。そこを満たさないインフォグラフィックは、どれほど洗練されていても、実務では評価されません。

 生成AIをどう使い分けるかを考える際には、モデルの賢さだけを見るのではなく、そのAIが日本語をどう扱っているのかということも大切なのです。

 文字を描いているのか、配置しているのか――。

 この一点を見極めることが、日本においては今後ますます重要になっていくはずです。

 用途によってGPT-5.2とGemini3を、使い分ける必要がでてくるでしょう。