中国軍機からレーダー照射を受けた航空自衛隊「F-15」戦闘機の同型機(航空自衛隊のサイトより)

空自機へレーダー照射

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中国空母「遼寧」機動打撃群の行動

 中国海軍の空母「遼寧」機動打撃群は12月6日(土)、東シナ海から沖縄本島と宮古島との間の海域を南東進し、太平洋へ進出した。

 その際、対領空侵犯措置のため緊急発進(スクランブル)した航空自衛隊の「F-15」戦闘機に対し、空母「遼寧」の「J-15」戦闘機が2度にわたりレーダー照射した。

 これは、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える極めて危険で、アンプロフェッショナルな行為として国際的に非難されるべき事件だ。

 それに先立ち、海上自衛隊は今年12月5日(金)午後2時頃、中国海軍空母「遼寧」(艦番号「16」)が、久場島(沖縄県)の北約420キロの海域において航行しているのを確認した。

 防衛省統合幕僚監部が発表した「中国海軍艦艇の動向について」によると、空母「遼寧」機動打撃群の行動は次図の通りであり、日本南西部近海での6日間の海上行動を終えて12月12日(金)に東シナ海に戻った。

出典:防衛省統合幕僚監部「中国海軍艦艇の動向について」(令和7年12月12日)(注:薄い赤色の破線は12月12日以前に公表)

 空母「遼寧」機動打撃群は、クズネツォフ級空母「遼寧」(艦番号16)を中心に、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(同117)、 ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(同124)、 フユ級高速戦闘支援艦(同901)の計4隻から編成されていた。

 同打撃群は12月7日、沖縄本島と南大東島(沖縄県)との間の海域を北東進し、喜界島(鹿児島県)の東約190キロの海域を東進した。

 8日(月) 北大東島の東約490キロ、9日(火) 北大東島の東約490キロ、10日(水)沖大東島の南東約210キロ、11日(木) 沖大東島の南東約210キロの海域に進出し、12日(金)沖縄本島と宮古島との間の海域を北西進し、東シナ海へ向けて航行したことが確認された。

 この間、空母「遼寧」の艦載戦闘機および艦載ヘリによる発着艦は約260回を数える。

月 日 発着艦回数(約数)
12月6日(土) 50回
7日(日) 50回
8日(月) 40回
9日(火) 20回
10日(水) 20回
11日(木) 60回
12日(金) 20回
合 計 260回

 この動きを受け、防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第6護衛隊所属の護衛艦「てるづき」(横須賀)、第4航空群所属の対潜哨戒機「P-1」(厚木)および第5航空群所属の対潜哨戒機「P-3C」(那覇)により警戒監視・情報収集を行った。

 また、艦載戦闘機の発着艦に対し、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させ対領空侵犯措置の任務に当たらせるなどの対応を行った。

「レーダー照射事件」が発生したのは、前述の通り、12月6日(土)に中国の空母「遼寧」機動打撃群が東シナ海から沖縄本島と宮古島との間の海域を通過し、太平洋へ進出した直後であった。