トランプ氏が気脈を通じる首脳の共通項は反移民・反グローバリズムの右派ポピュリスト

 トランプ氏は「私が運営したいのは米国で欧州ではないが、私は欧州に深く関わっている。北大西洋条約機構(NATO)は私を“パパ”と呼んでいる。私は欧州同盟国の国防支出を国内総生産(GDP)比の2%から5%に引き上げさせたが、欧州は破壊されつつある」と語る。

「欧州はどうすべきか分かっていない。貿易に関しても分かっていない。欧州で起きている貿易の状況を見ているが、危険だ。しかし欧州はポリティカル・コレクトネスでありたがり、それが彼らを弱くしている原因だ。ほとんどの欧州諸国は衰退している」

 トランプ氏の発言には誇張や脚色が巧みに散りばめられている。しかし繰り返せば、それがMAGA(米国を再び偉大に運動)支持層にとっての「真実」になる。

 トランプ氏は南米ではアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領、欧州ではハンガリーのオルバン・ビクトル首相、ポーランドへの支持を示した。共通項は反移民・反グローバリズムの右派ポピュリスト、アイデンティティー政治、主権主義だ。これはプーチンにも通じる。

11月7日、ホワイトハウスを訪れたハンガリーのオルバン首相を前に笑顔を見せるトランプ大統領(写真:Gripas Yuri/ABACA/共同通信イメージズ)

 トランプ氏は12月4日に発表した新しい米国家安全保障戦略(NSS)で「現在の傾向が続けば欧州大陸は20年もしないうちに見る影もなくなる。欧州において現在の軌道に対する抵抗勢力を育成する」というトランプ外交の原則をぶち上げ、欧州を震撼させた。