日本のトップ女性棋士との差は?──世界戦での日中韓対決は実現するか
では、日本を代表する女性棋士との比較では、どう見ているのか。
「藤沢里菜七段も、上野愛咲美六段も、この数年でさらに強くなっています。実力的には韓国女子ランキング3位の呉侑珍九段と同じくらいと見ていいと思います。
菫も良いペースで伸びているので、このクラスにしっかり食い込んでいます。いつ勝っても不思議ではないレベルだと思います」(洪四段)
では、世界戦で仲邑菫と日本トップ女流が直接対決する日は訪れるのだろうか。
「多くの世界戦は、国別の代表枠で出場者が決まります。菫は現在、韓国棋院所属ですから、世界戦に出るには韓国代表にならなければなりません。ナショナルチームのメンバーが優先される仕組みなので、国籍が違う菫は不利ですが、予選を勝ち抜いて代表入りするチャンスは十分あります。
日中韓5人ずつの勝ち抜き戦である『農心杯』には女子版がありませんが、もし女子版農心杯のような団体戦ができれば、5人代表の韓国チームにはほぼ確実に菫が入るでしょう。3人代表だとギリギリ微妙、というくらいの位置づけです」(洪四段)
もともと、日本在籍時代から仲邑四段は、藤沢女流本因坊や上野愛咲美(現・女流名人)、上野梨紗(女流棋聖)ら日本の女性トップと互角の勝負を繰り広げてきた。韓国移籍後、仲邑四段が大きく成長したのと同じように、日本勢も国際舞台で実績を重ねている。
女流名人に返り咲いた直後の上野愛咲美(2025年4月、筆者撮影)
2024年には上野愛咲美が世界女子棋戦の最高峰の一つである呉清源杯世界女子囲碁選手権を制覇。2025年3月には妹の上野梨紗がSENKO CUPワールド碁女流最強戦で優勝し、姉妹そろって世界タイトルホルダーになった。
上野愛咲美女流名人(2024年12月、呉清源杯優勝記者会見にて/筆者撮影)
N/S高校囲碁タイトル獲得祝賀会にて、上野愛咲美女流名人(左)と上野梨紗女流棋聖(2025年2月、筆者撮影)
日中韓のトップ女流棋士たちがしのぎを削る世界戦の舞台で、韓国を拠点とする仲邑菫と、日本を代表する藤沢・上野姉妹らが、どの大会で激突し、どんな碁を見せてくれるのか――。その日を楽しみに待ちたい。







