韓国での「棋風の変化」と実力評価は?

 続いて、仲邑四段の棋風の変化や、韓国での評価について聞いた。

「菫を子どものころから見ている韓国の道場の先生・韓鐘振九段によれば、『順調に成長している』とのことです。韓国の女子棋士では崔精(チェ・ジヨン)九段、金恩持(キム・ウンジ)九段の2人が突出していて、そこから少し差がありますが、菫はその2人を脅かす位置にきている。いつタイトルを取ってもおかしくない、という評価です」(洪四段)

崔精九段(右)(2018年撮影、写真:新華社/共同通信イメージズ)

 棋風については、洪四段は「弱点だった終盤力の強化」を指摘する。

「以前の菫は、ヨセ(終盤)が課題と言われていましたが、韓国に来てからそこがかなり強化され、全体的にバランスの取れた棋風になってきました。

 最近の内容を見ると、11歳上の曺承亞(チョ・スンア)七段よりは、もう菫のほうが一歩抜け出したように感じます。以前は闘志が前面に出過ぎていましたが、最近はそこがかなり落ち着いて、内容もスキがなくなってきました。

 何より、韓国でこれだけ多くの対局をこなしているので、百戦錬磨と言っていいくらい実戦経験が豊富になっています」

韓国で崔精九段と記念対局する仲邑菫(2019年1月撮影、写真:Mydaily/アフロ)