アジア地域では経済優先

 第3点目として本「戦略」は、アジア地域における米国の「究極的な利益」は経済であることを明確に打ち出している。

 そして「この地域の競争的国家による支配を許さない」ために、条約上の同盟国やインドなどを含む友好国と連携していくとしているのである。

 軍事面においても、「米国の経済的・技術的優位性を保つことが、この地域における大規模軍事紛争を抑止・予防するための最も確実な方法である」としている。

 台湾問題に関しても、「台湾海峡における現状変更の一方的試みを支持しない」理由として、「半導体生産における台湾の支配的地位」と「世界貿易の3分の1が南シナ海を通過する」ことを踏まえた台湾の地理的位置を挙げ、経済を前面に出しているのである。

 そのために「米国は(日本とフィリピンを結ぶ)第1列島線のいかなる場所においても侵略を阻止する軍事的能力を構築する」ことが必要であり、「同盟国が集団防衛のために立ち上がり、より多くの出費を負うと同時に、さらに重要なことはさらに多く『行動』すること」だとしている。

 すなわちこの「戦略」は、米国経済を支えるために、日本がより多くの防衛費を負担することを求めるのみならず、より積極的な軍事「行動」も求めているということになる。