直近の漁期、国内のシラスウナギは豊漁だったが…

 昨年11月から今年5月までの漁期は国内で久しぶりに14.8トン(水産庁推定、前期は7.1トン)のシラスウナギが採捕された。取引価格は大幅に下落したが、それでも平均1キロ130万円だ。高い年には300万円に迫ったこともある。シラスウナギが「白いダイヤ」と呼ばれる理由だ。

 この高値が密猟や不正流通を誘発してしまう。こうした構図はアメリカウナギにも及んだ。ワシントン条約による規制強化を回避できたからといって、とても安堵できる状況にはない。規制強化が見送りになったからこそ、大西洋クロマグロ以上に厳格な管理と資源回復に向けた方策が求められる。

「ウナギの闇」を解消し、科学調査に基づく資源管理を徹底するほか、日中関係の軋みが資源管理に影響しないように努力しなければならない。さらに、完全養殖による人工稚魚の商業生産を少しでも早く軌道に乗せ、国内はもちろん、日本にウナギや加工品を供給する中国などの養殖場にも十分な稚魚を供給する解決策も重要だ。

 その責任はニホンウナギだけでなく、アメリカウナギまで食べるようになった日本にある。