スーパーでウナギを買ったお金の行き先は「ハイチの麻薬組織」かも
会合は非公開だが、水産庁が公開した中国の養殖データを見ると池入れされたウナギ種苗(シラスウナギと少し大きくなった「クロコ」)はニホンウナギが資源減少によって大きく減り、それを補うようにアメリカウナギが増えている様子が分かる。直近の2023〜24年ではニホンウナギが9トンに対し、アメリカウナギは30トンにのぼる。

今年7月4日配信の記事でも触れたが、世界自然保護基金(WWF)ジャパンと中央大学は国内で昨年販売された蒲焼き(133点)をDNA分析した。その結果、輸入品(82点、すべて中国から)の半分以上はアメリカウナギだった。中国での養殖実態の変化を見れば当然の結果と言える。
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WWFジャパンと中央大学はファクトシートで、中国で池入れされるアメリカウナギがどこから来るのかについても分析している。
米国は許可制度の厳格化などで密漁や違法取引は減少。カナダは採捕許可量が約10トンであったのに対し、2022年には約45トンのシラスウナギが香港に輸入されたため、採捕だけでなく保持や輸出も許可制にした。
中国を中心にした養殖需要が拡大したことで、ドミニカ共和国やハイチ、キューバといったカリブ海諸国からの輸出も増えた模様だ。2022年には100トンのシラスウナギがハイチから輸入されたと見られるが、ウナギ稚魚の輸出コードを設けていない国も多く、正確な実態はつかめていない。
国連安全保障理事会は今年1月22日、ハイチ情勢についてのブリーフィングの中で「いくつかの報告によれば、ハイチの有力な政治・経済人がウナギ産業を利用して麻薬の利益を洗浄しているとのことだ」と指摘した。
皆さんがスーパーの店頭で中国産の蒲焼を買い、お金を払ったとしよう。そのお金は輸入した日本の企業を通じて中国の養殖業者へと渡り、養殖業者はその代金でシラスウナギを調達する。お金の行き着く先にハイチの麻薬組織がある可能性も否定はできない。