「大間のマグロ」でも起きた不正
2010年に全面的な禁輸措置を回避できた大西洋クロマグロは、マグロ類の管理機関の一つである大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)が漁獲枠を大幅に削減し、未成魚の漁獲を原則禁止にした。さらに、流通過程で漁獲証明書を確認するなどの保護策を打ち出して資源を回復させた。
クロマグロのように大型魚で、資源管理の国際機関が設立されている魚種でも不正は起きる。
国内でも青森県大間町産クロマグロ、いわゆる「大間のマグロ」の漁獲量を一部報告しなかったとして水産卸の社長2人が漁業法違反の罪に問われ、2023年に青森地裁が有罪判決を言い渡した。裁判長は「絶滅が危惧される中で世界的に漁獲の管理が行われており、犯行は軽視できない」と指摘した。
ウナギはもっと闇が深い。
国内でシラスウナギ(稚魚)を漁獲(採捕)するには許可とその報告が義務付けられている。ところが、都道府県が報告量をまとめた数値と、水産庁が実際に養殖池に投入された池入れ量から稚魚の輸入量を引いて算出した推定漁獲量には常に差がある。昨年(2023年11月〜24年5月)は少ない方だが、それでも差は2.1トンある。この「差」は未報告で漁獲されたことを意味する。

すでにヨーロッパウナギは2007年に付属書2へ記載となり、2009年から国際取引が規制された。日本の消費拡大に合わせて養殖量を増やした結果、ニホンウナギだけでは足りなくなり、ヨーロッパウナギ(稚魚)の漁獲圧力が高まったからだ。こうしてヨーロッパウナギが規制されると、今度は新たな供給源としてアメリカウナギが浮上した。
政府は2012年から中国や韓国、台湾と「ウナギの国際的資源保護・管理に係る非公式協議」を毎年、開催している。