企業間格差が急速に拡大し始めた
かつて日本では製造業とIT産業が別々に語られていましたが、今はAIがあらゆる産業の付加価値の中心になりつつあります。
米国ではマイクロソフトとオープンAIの連携が象徴的で、AIを単なるITの一部ではなく国家競争力の根幹と位置づけ、巨額の投資が続いているのです。
中国も百度(Baidu)やテンセント(Tencent)を軸にGPU(画像処理装置)クラスターやデータセンターを国家戦略として整備しています。
一方で日本は、少子高齢化による労働人口の減少、賃金の伸び悩み、生産性の低下といった構造的な課題が重なってきました。
特に2020年代に入り、日本企業のデジタル化の遅れが世界的に目立ち始めたことが政府の危機感を一気に高めたのです。
先日、経済産業省の担当者と話した際、すでにAIを活用する企業とそうでない企業の格差が想像以上に大きく、見過ごせない状況にあると明かしてくれました。
2525億円という投入額は、こうした危機感が背景にあります。
日本がAI後進国に転落しないためには、国家としての大規模投資が不可欠になったのです。
オープンAIの「ChatGPT」の登場以降、世界中でAIモデルの性能競争が繰り広げられてきました。
しかし2025年現在、その争いはすでに主役の座を降りつつあります。
今、世界の注目はAIをどれだけ早く社会に実装し、国全体の生産性を押し上げられるかに移っているのです。
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