2025年11月8日、グランプリシリーズ、NHK杯、フリーで演技する坂本花織 写真/スポーツ報知/アフロ
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(松原孝臣:ライター)

「自分の競技人生は1年を切っています」

 2月4日から7日にかけて、フィギュアスケートのグランプリファイナルが名古屋で行われる。日本での開催は8年ぶりとなる。

 グランプリシリーズの成績上位6名(6組)のみが出場できるこの大会、女子で中心となるのは坂本花織だ。2022年の北京オリンピックで銅メダル、世界選手権は2022年から3連覇……。その実績は多くの人が知るところだ。

 迎えたシーズンでは、持ち味を発揮してきた。9月の木下グループ杯こそショートプログラムが思うようにいかず2位に終わったものの、グランプリシリーズでは、フランス大会で224.23点と高得点をマーク。順位こそ、中井亜美の会心の演技の前に2位となったがまずは上々の滑り出しと言えた。

 続くNHK杯で227.18点と得点を伸ばし、2位以下に20点を大きく上回る差をつけて優勝。

「グランプリシリーズの2戦とも220点を超えたことはなかったので、オリンピックシーズンに220をコンスタントに出せたというのはすごく自信にもつながります」

 と笑顔を見せ、NHK杯を終えた。

 そしてこれらの成績により、グランプリファイナル進出も決めた。

 2017―2018シーズンにシニアデビューし平昌オリンピックにも出場、以来、長期にわたり第一線に立ち続ける坂本にとって、今シーズンは特別な1年である。今季限りで現役を引退することを表明しているからだ。

 発表は6月20日、地元の神戸市に新設された通年型のアイスリンク「シスメックス神戸アイスキャンパス」オープニングセレモニーでのこと。

「自分の競技人生は1年を切っています」

 昨シーズンから、「来シーズンと2年でひとくくり」と話していたときに、すでに決めていたという。

「どの試合も悔いなく終えたいです」

 と、柔らかくも強い気持ちとともに進んできた。

「最後だから、という気持ちはあまりふだんはないんですけど」

 NHK杯ではこう語る。プログラムの完成形を目指すというスタンスが根幹となっているからだろう、そこに力を注ぐ。

 一方でこうも語る。

「今年で最後って決めてからは、練習がめちゃくちゃ楽しくて、もちろん常にきついんですけど、でもやりがいのある練習が毎日できています」