エネルギー価格引き下げを通じた物価押し下げの方が大きい

 まず、現時点で判明している物価高対策のうち、ガソリン暫定税率廃止、および電気代・都市ガス代補助金再開は、エネルギー価格を直接的に押し下げる。ガソリン暫定税率廃止によるコアCPI前年比押し下げ効果は、2026年平均で▲0.23%pt程度になる。

 電気代・都市ガス代補助金については、一般家庭で1月使用分が3000円程度、2~3月使用分が2000円程度、合わせて7000円程度の負担減となる模様だ。2~4月のコアCPI前年比押し下げ効果は平均▲0.6%pt程度、2026年平均で▲0.15%pt程度となる。

 ガソリン暫定税率廃止、および電気代・都市ガス代補助金再開を合わせれば、コアCPI前年比押し下げ効果は2026年平均で▲0.38%pt程度となろう。現時点ではコアCPI前年比は2026年1月に+2%割れ、2~3月に+1%台前半まで低下する見込みだ。

 一方、消費者物価の押し上げ効果として需給逼迫が挙げられる。

 物価高対策により家計の実質所得が増加。個人消費が押し上げられ、物価上昇に繋がる経路が存在する。直接的に家計の所得改善に寄与する経済対策は、所得税の「年収の壁」引き上げ、子ども1人当たり2万円給付だろう。

 さらに、重点支援地方交付金についても、その使途はおこめ券配布やクーポン配布など自治体に任されているが、基本的にはその大半が家計支援に回る。先述のエネルギー価格引き下げと合わせれば、2026年の実質所得を+1.5%pt程度押し上げる見込みだ。

 実質個人消費押し上げ効果は楽観的にみて+0.9%pt程度、実質GDP押し上げ効果は個人消費をみれば+0.5%pt程度となる。個人消費の増加を通じたコアCPI前年比押し上げ効果は2026年平均で+0.2%pt程度となろう。

 すなわち、個人消費の増加を通じた物価押し上げ効果よりも、エネルギー価格引き下げを通じた物価押し下げ効果の方が大きくなる。