犬塚勉は山に登り続け、ひたむきに自然を描いた(イメージ写真:ARTemis / PIXTA)
(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)
11月15日、千葉県柏市の犬塚勉の絵画展に行ってきた。
場所は、犬塚勉の美術館(犬塚陽子氏の自宅)である。東武アーバンパークライン(東武野田線)の逆井(さかさい)駅東口から徒歩7分のところにある。
しかし会場までの略図がない。そこで駅前にある駅付近の地図で、この二つの公園の間あたりだな、と見当をつけて歩き始める。
所番地を確かめながら歩いていると、偶然発見した。「INUZUKA」という表札の下に「犬塚勉の美術館」と書かれた小さな紙が貼ってある。
インターフォンで、予約してたものですと伝えると、奥様が出迎えてくれた。
いっぺんにファンになった
わたしが犬塚勉という画家を知ったのは、2017年5月にテレビ東京で放映された「美の巨人たち――犬塚勉『梅雨の晴れ間』」という番組で見たのが最初だと思う。
はじめて知る名前で、それまでなにも知らなかった。
いくつかの作品が紹介されたが、特に「縦走路」という絵を見た途端、いきなり魅せられた。無名の画家で、こんな凄い人がいたのかと驚いた。
いっぺんにファンになった(ホームページには、犬塚の主要作品8点が掲載されている。参考にしてほしい)
しかし犬塚勉は1988年、38歳の若さですでに亡くなっていたのである。そうだったのか、と思った。