現代の金融界に現れたパウの庭園
だが、1990年代に証券取引が電話ベースからウエブベースに移行したことは、今日の投資家がロビンフッドのようなアプリを介して行える愚行に比べれば、今となっては古風に思える。
古いジョークでは、コーヒーを飲むとエネルギーがわき、ばかばかしいことが速くできるようになると言われる。コーヒーは好きではないが同じ効果を得たい人はトレーディングアプリを手に入れるといいだろう。
これから動意づくミーム株や暗号資産についてソーシャルメディアで交わされる会話も、非常にまずい判断の原因になることがある。
(編集部注:動意づくとは、価格変動の乏しかった株式や為替市場が少しずつ動き始めることをいう)
集団意思決定の研究によると、このような集団は自己分極することが多い。例えば政治姿勢が中道左派の人々が集まると、集まった人々がお互いの偏りを強め合い、さらに左派に傾く。右派の場合も同じだ。
総じて言えば、同じような考え方の人々に囲まれると、その集団の誰もが自信過剰になる。それが政治の世界に当てはまるなら、投資の決断についても同じことが言えそうだ。
昨今の金融界には、幻想と現実を区別しない集団がある。その集団のメンバーは皆、社会的な承認を求めており、実際に見つけている。
すると、とりわけ重要なのは中身ではなく、きらびやかな外見だということになる。
金融界のこうしたシュールな諸集団は本当に、アドリアーン・パウの鏡の庭園を再発見したのだ。