技術の進歩よりも関心を集めることが重要
それ以上に奇妙なのがビットコインだ。
もともとは銀行などの機関に頼る必要のないデジタル決済の促進と、利用者の匿名性を守るために設計されたものだ。
ところがビットコインは扱いにくく、利用時のコストも高いうえ、大規模な仲介業者を頼りにするのが一般的だ。
おまけに、期待できるのは匿名性というよりは偽名性であり、犯罪者でさえこの暗号資産の有用性には特に満足していない。
ビットコインは目標とされるものをいずれも達成していないが、価格が大抵上昇する資産になることにかけては大成功を収めた。
では、現在のビットコインの価格はその基本的な価値を公正に推計した値になっているのだろうか。
その答えは「ノー」ですらない。この問いにはカテゴリーエラーが含まれている。ビットコインにはそもそも基本的価値などないのだ。
ほかの暗号資産――例えばドージコインや保守活動家チャーリー・カーク氏の殺害を機に作られたコインなど――はさらに奇妙だ。
バブルの歴史に詳しいアンドリュー・オドリツコ氏は先日、「広告で推薦してもらったりブランド戦略を作ったりといったことにかけられる資金に比べれば、基本的な安全性の確保にかけられるお金はごくわずかで、安全性は笑ってしまうほど乏しいことが多い」と指摘した。
技術の進歩よりも注目を集めることの方が重要なのだ。