シュールな経済が生み出す奇妙な資産

 今日の金融市場について言えることは、バブルになっているか否かにかかわらず、シュール(超現実的)なものをもてあそび続けているということだ。

 債券や株式といった従来型の金融資産には将来のキャッシュフローの見込みが付随している。

 トレーダーがこれらの資産を売買するのは、将来どれほどのキャッシュが得られるか、あるいは将来の特定のキャッシュフローをどのように評価するかについての見解が人によって異なるからだ。

 ここでは若干の魔法が用いられ、未知であるはずの明日の金額が非常に具体的な今日の金額に変わる。この魔法は金融の日常だ。

 だが、これは甚だしく時代遅れな物語だ。

 今日のシュールな経済では、ビットコインとかドージコインといった暗号資産(仮想通貨)が2021年のゲームストップやこの夏のクリスピー・クリームのようなミーム株とともに登場した。

 今ではすっかりおなじみの存在であるため、これらがいかにシュールであるかを見落としがちだ。

 ミーム株には将来のキャッシュフローが付随するが、そのキャッシュフローが重要だと見ている「ふり」をする人はほとんどいない。

 ミーム株の株価を動かしているのは、ソーシャルメディアで株式の購入を推奨し合っている個人投資家たちだ。

 人々がゲームストップ株を購入したのは、株価が上昇すると思ったからであり、実際に購入したことで株価が上昇した。

 このプロセスは、パウの庭園に配置された鏡がチューリップの像を反射し続けるのと同じく、いつまでも続く。