(英フィナンシャル・タイムズ紙 2025年11月6日付)
ニューヨーク市長に選ばれたゾーラン・マムダニ氏(11月5日撮影、写真:Splash/アフロ)
若い人たちに説明するのが最も難しいのは、20世紀終盤の生活のどの側面だろうか。
自動車が錆びるものだったということか。我々は退屈などというものを経験したことか。それともニューヨークに保守派の市長がいたことだろうか。
確かに、2000年代に入った後にルディ・ジュリアーニが同じ共和党のマイケル・ブルームバーグにニューヨーク市長の座を引き継いだが、ブルームバーグは以前は民主党員だったし、その後も民主党に籍を戻す。
もう一世代の長きにわたって筋金入りの右派が市政を担ったことはなく、ゾーラン・マムダニがこの流れを継ぐことになる。
ニューヨーク、パリ、ロンドンにも共通する現象
ニューヨークと肩を並べる他の大都市にも同じことが言える。
仏パリは2001年以来、社会党以外の市長をいただいたことがない(中道右派のジャック・シラクはかつて18年間もパリ市長を務めた)。
米ロサンゼルスは同じ2001年以来、共和党の市長が一人もいない。
ロサンゼルス市の郊外や周辺の郡の一部地域にバリー・ゴールドウォーターの時代までさかのぼる熱烈な保守主義の伝統があるにもかかわらず、だ。
1987年には首都ロンドンに選挙区がある英国下院議員の大半が保守党議員だった。
その10年後の総選挙でトニー・ブレアが収めた地滑り的な勝利の一環としてロンドンは労働党支持に大きく振れ、その後、英国全体が習慣的な保守主義に回帰したにもかかわらず、ロンドンは二度と元に戻ることがなかった。
確かにボリス・ジョンソンが市長に選出されたが、あれはブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)の前のことで、多くの有権者は本流から離れたボヘミア的な魅力のためにジョンソンを選んだ。
ここでロンドンが英国首相としてジェレミー・コービンを望んだことに繰り返し言及しておく価値がある。郊外や地方がロンドンを自らの暴挙から救わなければならなかったのだ。