有色人種・低所得層が暮らす地域に集中するデータセンター

 米コロラド州デンバー在住の先住民イアン・トーマス・タフォヤ氏は「私の住む地域は精製施設、トラック交通、鉄道が集中し、州内でも最も環境負荷の大きい場所。公衆衛生センターと高齢者センターの向かい側にデータセンターが建設された。これは環境正義の問題」という。

イアン・トーマス・タフォヤ氏(筆者撮影)

 バックアップ電源として新しいガスタービンが高齢者センターの方に向けて設置された。工業ゾーニング(用途地域制)がそのまま残っている地域には歴史的に有色人種・低所得層が暮らしており、データセンターが集中する。大きな懸念は水や電力、環境の負担能力だ。

「データセンターを建てる人は自分でクリーンエネルギーを持ってこいと人々は訴えている。データセンターが自前でクリーンエネルギーを確保し、責任ある形で水資源を利用するべきだとの議論が起きている。特に米国南西部では水の利用は重大な問題だ」とタフォヤ氏はいう。

 前出のスー氏は「米国は世界最大の歴史的排出国であり、同時に世界最大のデータセンター排出国でもある。第2次トランプ政権(共和党)、その前のバイデン政権(民主党)もシェールガス・石炭火力による電力をデータセンターに使うことを推進してきた」と指摘する。

ジーン・スー氏(筆者撮影)