第3部 2油種 (北海ブレント・露ウラル) 2025年日次油価動静
次に、北海ブレントと露ウラル原油の2025年月次・日次油価推移を概観します。
下記グラフの北海ブレントと露ウラル原油月次油価は今年9月度まで、日次油価は4月1日から11月14日(北海ブレントは11月12日)までの日次油価推移を表示しています。
欧米は2022年12月5日、ロシア産海上輸送原油に対し上限油価バレル$60(FOB)を発動。2023年2月5日には石油製品の上限設定(軽油類$100/重油類$45)も導入。
日本政府もこの措置に追随する旨を発表しました。なお、$60の建値はFOB(積出港油価)にて、海上輸送運賃や保険料は含まれていません。
また、上限価格はあくまでも海上輸送による油価上限であり、PL輸送原油には適用されません。
ちなみに、欧州は今年9月、従来の上限油価FOB$60を$47.6に引き下げました。
しかし、ロシアが原油生産を停止して困るのは石油消費国です。ロシア石油企業は原油生産を継続するが、大儲けはできない上限油価がFOB$60程度となり、$47になれば赤字操業になります。
欧米による対露経済制裁措置導入により、従来欧米に向かっていたウラル原油は輸出先を失い、インド向けに超安値販売となりました。
今ではロシア産原油の約半分は中国向け(ESPO原油)、約4割はインド向け(ウラル原油)になっており、従来ロシア産原油を輸入していなかった国々も輸入開始しました。
しかし、ここには政治性はありません。ビジネスとして、安く買って高く売っているだけの話です。
これは、ロシアの石油会社に入るはずの利益をインドの石油会社が享受している構図です。
換言すれば、ロシアにとり国益の流出であり、「ロシアの国益」を標榜して2000年5月7日にロシア大統領に就任したプーチン大統領は、結果として「ロシアの国益」を毀損しているのが実態です。
ご参考までに、今年2025年の月次・日次油価推移は下記グラフの通りです。





