AIアプリは「まだ全然足りていない」

 ここで少し視点を変えて考えてみます。

 チャットAI、コーディングAI、コンテンツ生成AI。これらは誰のためのツールでしょうか。

 実は大半が「何かを作る人」「業務で使う人」のためのB2B寄りのツールです。

 エンジニア、クリエイター、コンサルタント、マーケッター・・・。いわゆる情報産業のプレーヤー向けのサービスが中心です。

 でも、インフラ側が本当に回収したいのは、インターネットでいうところのユーチューブ、「Netflix」、「LINE」、「Spotify」のような存在です。

 小学生から高齢者までが日常的に使い、特に意識しなくても生活の一部になっているサービス。

 インフラへの投資を社会全体の豊かさとして回収してくれるアプリケーションなのです。

 インターネット黎明期を思い出してください。最初にあったのは検索エンジンとホームページ、それからメールくらいでした。

 そこに後から、SNS、動画配信、サブスクサービス、フリマアプリなど、誰も想像していなかった「使い道」が次々と発明されたのです。

 今、AIはちょうどその「検索とホームページしかない」時代にいるのだと私は感じています。

 つまり、AIアプリケーションの世界は、まだほとんど手つかずなのです。黎明期という表現は決して大げさではありません。

 価値が大きいのは、AIインフラ側か、AIアプリ側か、この両極端であって、その中間はどんどん効率が悪くなっています。

 ここでいう中間とは、例えば次のような仕事です。