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 メガバンクグループ3社の業績が好調だ。2024年3月期、2025年3月期と連続して最高益を更新し、「稼ぐ力」を高めている。この3メガバンクをはじめ多くの銀行で収益性が高まっている要因について「再編の効果やマイナス金利の解除だけではない」と語るのは、2025年9月に著書『銀行ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)を出版した、金融エディターの菊地敏明氏だ。変わり続ける銀行ビジネスの収益モデルや変化のきっかけについて、同氏に話を聞いた。

窓販解禁が銀行にもたらした「新たな文化」

──著書『銀行ビジネス』では、銀行が手数料ビジネスを拡大するきっかけとして、1998年に解禁された投資信託の「窓口販売(窓販)」の影響が大きかったと指摘されています。窓販の解禁は、銀行の企業文化にも少なからぬ変化をもたらしたとのことですが、どのような変化があったのでしょうか。

菊地敏明氏(以下敬称略) 銀行の基本的なビジネスモデルは、預金を集めて貸し出しや運用に回し、その利ざやで利益を得るというものでした。長期的な関係を築きながら企業の成長を支え、徐々に収益を得ていく、いわば「農耕民族的」なビジネススタイルといえます。

 しかし1998年に、銀行での投資信託の窓口販売が解禁されたことで、状況は一変しました。銀行がこれまで扱ってこなかった投資信託の販売が可能になり、さらにその後は保険商品も取り扱えるようになりました。

 こうした商品は、販売した時点でまとまった販売手数料を得られるビジネスモデルです。販売実績が上がれば、それに比例して短期的に収益も拡大します。この構造が、従来の農耕民族的な文化を持つ銀行に「狩猟民族的」な文化をもたらしたのです。

 窓販は急速に普及しましたが、販売すればするほど利益が上がる構造は、営業現場での過度な販売競争を招く要因ともなりました。結果として、顧客のニーズを無視した無理な販売が問題視される場面も見られるようになりました。

 現在は、そうした反省を踏まえ、再び顧客と長期的な関係を築きながら少しずつ利益を積み上げていく、「農耕民族的」なアプローチへの回帰が進んでいると感じています。

 銀行はもともと、預金や住宅ローンなどを通じ、長い時間をかけて信頼関係を築く文化が根づいています。そこに加えて、資産運用ニーズの高まりを背景に、投資信託や保険といった複数のサービスをワンストップで提供しながら、顧客のファイナンシャルプランニングをサポートできる体制が整いつつあります。今は窓販解禁以降の大きな転換点といえるでしょう。