多めに借りて繰り上げ返済した方が「総返済額」が減少する

 繰り上げ返済の効果をフルに活用するためには、住宅ローンの借入額を多くして、その多めに借りた分を繰り上げ返済すれば、結果的に完済までの総返済額を少なくできるという活用法がある。これから住宅ローンの利用を考えている人は知っておいたほうがいいだろう。

 本来なら5000万円の借り入れを予定していたところを5500万円に増やし、増額した500万円を後に繰り上げ返済すれば、5000万円の借り入れで繰り上げしない場合と比べて完済までの総返済額が少なくなる可能性がある。

 例えば、借入額5000万円を35年・元利均等・ボーナス返済なしで借りた場合、毎月の返済額は14万1142円で、繰り上げ返済しないとこれが35年間続くので、完済までの総返済額は約5928万円となる。

 だが、借入額を5500万円に増やすと、毎月返済額は15万5257円に増えるが、3年後に「期間短縮型」で500万円繰り上げ返済すると、残りの返済期間は32年から28年5カ月に短縮される。

 当初の3年間と、残りの28年5カ月の総返済額は約5853万円となるので、5000万円借りて繰り上げ返済しない場合と比べて、総返済額は75万円も少なくなる。

 多めに借りた500万円は、早めに一括して繰り上げ返済するのが得策だが、手元にある程度現金を残しておきたいのであれば、何度かに分けて返済する手もある。その場合、手数料がかかる銀行だと効果が薄れることになりかねないので、事前に確認しておきたいところだ。