残債が減ればローン控除額が減ってしまうデメリットも
繰り上げ返済のメリットは、総返済額を少なくできるほか、「期間短縮型」なら当初の予定より早く完済できるので、ライフステージの変化に対応しやすくなる。
例えば、子どもの教育費負担が増加する時期までに返済を終えたり、返済額を少なくしたりできる。また、老後への備えも早くから始められるため、ゆとりをもって生活できる。
ただし注意が必要なのは、メリットの大きい「期間短縮型」で繰り上げ返済すると、ローン残高が減少するので、ローン減税の適用を受けている人は、その分翌年からの控除額が減ってしまうデメリットが発生するという点だ。
2025年のローン控除制度では控除率は0.7%なので、ローン控除の対象になるローン残高が3000万円なら、控除額はその0.7%の21万円となる。
しかし、繰り上げ返済によってローン残高が2900万円に減ると、控除額も20.3万円に減少してしまう。控除期間は13年(中古住宅は10年)で、残りの期間が長いと影響が大きくなるので注意したい。
なお、控除対象となるローン残高は、新築住宅を取得して2025年に入居した場合、子育て世帯などが長期優良住宅・低炭素住宅を取得したときには5000万円(一般世帯は4500万円)、ZEH*注水準省エネ住宅は4500万円(一般世帯は3500万円)、省エネ基準適合住宅は4000万円(一般世帯は3000万円)などで、省エネ基準を満たせない住宅は減税の対象にならないので注意したい。
*注:「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)」の略で、住宅で使うエネルギーと創るエネルギーの収支を1年間でプラスマイナスゼロ以下にする住宅のこと
中古住宅は長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅は3000万円、その他の住宅は2000万円となっている。