栽培や飼育手法といった知的財産の保護も重要に
政府はロボットや情報通信技術(ICT)を利用するスマート農業も推進する。熟練農業者の経験や知識をデータとして蓄積すれば、今度はそうした知的財産の流出防止策も求められる。養殖漁業のノウハウも同じだ。品種にとどまらず、栽培や飼育手法も知的財産になり得る。
豪州に和牛を持ち込んだ人物に2003年、シドニー市内で取材したことがある。海外有力企業の日本法人トップを務めた有能な経営者だ。日本に住んでいた時に和牛の美味しさに衝撃を受け、生産者から飼育方法も学んだという。
和牛生産者は外国人が熱心に和牛について聞いてきたので、親切に教えたのだろう。どのような飼料をどのように与え、極上の肉を持つ和牛に肥育していくかを。ただ、製造業に置き換えれば技術流出とも言える。農漁業を産業として成長させていくには、企業と同じく、競争力の源泉を守る対策が必要だ。



