凋落する日本市場とシンガポールの台頭

 図表③に示すように、依然として英国のシェア(37.8%)は頭一つ抜けて大きい。

【図表③】

 2019年から2022年にかけて▲5.2%ポイントと大きく落ち込んでいるのは英国のブレグジットが実務的にも完了した2020年の影響であり、これと整合的に英ポンドの取引シェアが低下していることは上述した通りだ。

 ただ、2022年から2025年の調査ではほぼ変わっておらず、ブレグジットを経ても、世界の為替取引の中心はロンドンであるという事実は大きく揺らいでいない。これに米国(18.6%)、シンガポール(11.8%)が続く構図は過去4回の調査と基本的に変わっていない。

 あえて国・地域別の議論に論点を見出すとすれば、日本の凋落とシンガポールの台頭だろう。表に示される通り、2010年調査までは日本が3位につけており、シンガポールがこれを追いかける構図にあった。しかし、2013年以降はシンガポールに逆転され4位に、2016年には香港にも逆転されて5位に転落している。

 今回の調査でも日本は辛うじて5位の地位を確保しているが、ドイツやスイスなどの大陸欧州の国々に肉薄されており、次回調査では6位転落も視野に入る。

 片や、シンガポールは3位を守りつつ前回の9.5%から11.8%へと初の二ケタに乗せており、日本(3.5%)との差は実に3倍以上に開いている。今回調査におけるシンガポールの急伸は欧米系の投資ファンドを中心に、2020年6月の国家安全法施行後の香港にまつわる政治リスクを回避する動きが盛り上がったためである。

 しかし、そうした特殊要因を抜きにしても、12年前(2013年)まで両国の取引シェアはほぼ互角(5.6~5.7%)であったことを振り返ると、隔世の感を覚える。同じような傾向は香港にも指摘できる事実であり、2013年頃からはっきり上昇基調にある。