決済通貨は先進国通貨から新興・資源国通貨に分散傾向
2022年のロシア・ウクライナ戦争後、国際金融市場から締め出されたロシアが人民元を介して経済活動に復帰しているという事実は周知の通りである。また、一部の国では原油取引の人民元建て決済も始まるなど、この勢いは当面続きそうだ。次回調査公表時(2028年)には世界4番目の通貨として人民元が浮上しているかもしれない。
また、②ユーロの凋落も目を引く動きだ。足もとでは「ユーロの基軸通貨性」に対する前向きな議論が盛り上がり始めているものの、今回の調査時点では逆に過去四半世紀における「ユーロの凋落」が浮き彫りになっている。
2001年から▲9%ポイントという下落幅は全通貨中最大だ。この辺りも第二次トランプ政権以降の米国が孤立性を深める中、どのように変わっていくのか注目度は高い。過去の本欄でも論じているように、「米ドル離れ」をテーマとしてユーロ建て取引が復調してくる期待はある。
最後に③取引通貨の多様化も重要な論点だ。先の図表②が示しているように、上位5通貨のうちドルを除く4通貨(EUR、JPY、GBP、CNY)の取引シェアは明らかに低下傾向にあるが、下位5通貨(CHF、AUD、CAD、HKD、SGD)のそれは上昇傾向にある。
既に外貨準備構成通貨(COFER)データでは運用多様化の潮流が指摘されて久しいが、それが「価値保蔵手段」の面から見た「ドルの基軸通貨性」毀損だとすれば、BIS調査は「交換手段」としての毀損を示唆している。
まだ米ドルの地位を明確に脅かすには至っていないものの、為替市場における決済通貨が多様性を、より具体的には先進国から新興・資源国通貨への分散傾向を帯びつつあるというのは調査を通じて浮き彫りになる事実だ。
次に、外為取引の国・地域別の取引シェアに目を移そう。