2025年11月2日、全日本大学駅伝、7区を走る駒大の佐藤圭汰 写真/SportsPressJP/アフロ
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(スポーツライター:酒井 政人)

「5区伊藤」で狙い通りのトップ奪取

 11月2日の全日本大学駅伝は駒大が“復活V”を果たした。“5強”による大混戦が予想された今大会。27年前に初優勝のゴールテープを切った藤田敦史監督の思惑通りにレースが進んだ。

「昨年は5区と6区でやられましたので、今年は5区にエース格の伊藤を配置しました。5番以内で前半をしのいで、ストロングポイントとなる5区で一度前に押し上げる。そして7区、8区の圭汰と山川で勝負するイメージでした。伊藤が差をつけた段階で『勝てるかな』と思いましたね」

 1区の小山翔也(3年)が1秒差の4位で好スタートを切ると、2区の谷中晴(2年)で3位、3区の帰山侑大(4年)でトップに浮上。4区安原海晴(3年)で4位に転落したが、当日変更で5区に入った伊藤蒼唯(4年)が爆走する。35秒のビハインドをひっくり返して、52秒のリードをゲット。区間記録を17秒も塗り替えて、今大会のMVPに輝いた。

 勢いに乗った駒大は6区の村上響(3年)、7区の佐藤圭汰(4年)、8区の山川拓馬(4年)が区間2位、同3位、同3位と好走。後続に2分01秒以上の大差をつけて、17度目の栄冠を手にした。大会記録に6秒と迫る5時間6分53秒の快走劇。とにかく全日本の駒大は強かった。

 佐藤を欠いた出雲駅伝は5位に沈んだが、絶対エースが7区に入った全日本は前半区間の選手たちが伸び伸びと駆け抜けた。

「1区の小山、2区の谷中、3区の帰山は私が思っていたようなレースをしてくれました。そして4区の海晴も踏みとどまった。そのおかげで伊藤の爆発的な走りが生まれたのかなと思います。私が考えていた戦略と、学生たちのレース運びが本当にマッチして、非常に強い勝ち方だと感じています」(藤田監督)