2025年11月2日、全日本大学駅伝、7区を走る青学大の黒田朝日 写真/SportsPressJP/アフロ
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(スポーツライター:酒井 政人)

中大は30年ぶりのトップ中継

 駒大が独走で17回目の優勝を飾った全日本大学駅伝。2~4位は混戦になり、中大、青学大、國學院大の順でフィニッシュした。中大が出雲駅伝10位から2位、青学大も同7位から3位に浮上したことになる。両校は何が変わったのか。

 中大は出雲駅伝で“惨敗”といえる結果に終わっている。1区の岡田開成(2年)がトップで飛び出すも、2区の濵口大和(1年)で10位に転落。その後は思うように順位を押し上げることができなかった。しかし、藤原正和駅伝監督は、「夏に例年以上の練習をしてきた逆の意味での成果だと思っていたので、さほどネガティブにとらえていませんでした」と全日本での“反撃”を確信していた。

 1区は出雲6区で区間10位に終わった本間颯(3年)が好走。トップと5秒差の8位につける。そして2区の吉居駿恭(4年)が5校による首位争いを制して、勢いよく中継所に駆け込んできた。中大は伊勢路で30年ぶりとなるトップ中継に成功した。

 3区の藤田大智(3年)は順位を落とすも、首位に立った駒大と1秒差の3位でつなぐ。そしてレース当日に誕生日を迎えた4区の柴田大地(3年)が区間賞。再び、トップに立った。

 5区の三宅悠斗(1年)は区間3位と健闘したが、駒大・伊藤蒼唯(4年)の区間新に対応できず、3位に転落。6区の佐藤大介(2年)が國學院大の前に出るも、7区の岡田は青学大・黒田朝日(4年)にかわされた。

 最後はアンカー・溜池一太(4年)が57分03秒の区間2位と快走。青学大を抜き去り、2位でゴールを迎えた。伊勢路では2007年以来のトップスリーとなる過去最高順位を占めて、出雲から“急上昇”を果たした。

「出雲で周りからいろいろ言われましたので、『全日本、見とけよ!』という思いでやってきました。2位というのは非常に悔しいですけど、選手たちが自信を取り戻してくれたのは大きかったと思います」と藤原監督。夏に例年以上の距離を走り込んだことで、「僕の想定よりも(疲労の)抜けが悪かった」(藤原監督)と10月はピリッとしなかったが、選手たちは調子を上げてきた。

 昨年の全日本はうまく調子を合わせられず12位。しかし、箱根駅伝は往路で2位に食い込み、総合5位に入っている。トラックのスピードはナンバー1といえる中大。今後は11月22日のMARCH対抗戦で10000mのタイムを狙って、正月決戦にピークを合わせていくことになる。

 往路候補は前回1区で飛び出した吉居、同3区区間賞の本間がいて、前回2区の溜池は、「全日本8区でいい走りができたので、65分台ではなく、もう少し上を狙っていきたい」と日本人最高記録(1時間5分43秒)を視野に入れている。そして4区は出雲1区区間賞の岡田と全日本4区区間賞の柴田が希望しており、「山は自信があります」と藤原監督。超強力オーダーで前回届かなかった往路V、それから30年ぶりとなる総合優勝を目指していく。