サイレント・インディペンデンス
一方、働かなくてもいい人が増える社会では、倫理的な課題も浮かび上がります。
もしAIがすべての生産を担い、人間が働かなくても生きていけるようになったとき、人は何を目指すのか――。
働かない自由は、同時に生き方の自由を問うものになります。
最近、若者の間でサイレント・インディペンデンスという言葉が広がってきました。
AIを使って最低限の収入を自動化し、あとは自分の時間を学びや創作、地域活動に費やす生き方です。
彼らは富裕層ではありませんが、働かない=怠けるではなく、働かない=選ぶという新しい価値観を体現しています。
AIが人間の生産性を無限に高めていくほど、生きる意味という哲学的な問題が現実味を帯びてくるのです。
AI時代の分断を食い止めるカギは、教育にあります。
文部科学省は2025年度から、一部の中学校で生成AIの活用授業を試験導入する予定です。
しかし、現場では教師の側がAIの使い方を理解していないという課題があります。
AIを禁止するよりも、正しく使う力を育てる教育に転換する必要があるのです。
私は最近、大学生向けにAIリテラシー講演を行いました。